22.タメになるメタル話 Part 2. ( デビルサイン、メタルのサタン、ノルウェーのブラック・メタル殺人事件、他 )
まだZeitgeist:Addendumの日本語訳ぜんぜん終わってないけど、なんだか他のサイトと同じような事ばっか書いててもあんましやりがいを感じられないし、自分の得意な分野でないのが続くとストレスたまるばっかだし、しかもジャック・フレスコ腹立つばっかだし、(たぶん私は多くの一般よりも動物語に敏感なので、フレスコの話し方だけでもよけいイライラするのだと思う)、・・・もう、ものすごく具合が悪くなってしまったので、またずっと前から書きたかった内容のメタル記事を書く事にした。 (Zeitgeistの日本語訳はまた続けます。)
たぶん多くの一般の人々は全く関係ないと思っている分野だろうが、客観� �に見ても、そこにかなりの、この世の縮図がみれるはずだ。
今日はメタルカルチャーのHorns の紹介から始める。 あの、「悪魔サイン」 とか呼ばれる、人差し指と小指を立てる手のジェスチャーの事だが、日本ではメロイック・サインと呼ばれるらしく(日本では私の友達間では「デビルサイン」 と言う)、ウィキペディアはここ。 >>>『コルナ;ウィキペディア、日本語 』
メタルではふつうHornsというのが多い。 Throw the Horns!とかHorns up! が最もポピュラーで、・・・めんどくさいから英語のウィキから引っ張ってくると、『 devil sign, devil horns, goat horns, metal horns, death fist, horns up, slinging metal, metal sign, sticks up, throwing the goat, rocking the goat, sign of the goat, throwing the horns, evil fingers, the horns, forks, metal fist.』 と、いっぱいある。
最近、日本でもイルミナティのサインとしてポピュラーになってきたみたいなので、 メタルカルチャーのHornsやサタンの立場と勘違いされると腹立つので、・・・その違いをここに表記しておきたい。
メタル・カルチャーにとって重要なHornsとは何か。
・・・まずは、私自身がどうのこうの言い出すよりも、ネット上の、とあるメタル・グループの英語のページで、ちょうどよい、素晴らしく大事な要点をまとめてくれている記事があるので、それを訳したい。
(タイトル) DO NOT USE THE HORNS UNLESS YOU ARE METAL ( メタル人でなければHorns(ホーン)を使うべからず。)
by ダン・ダノワー・ウィトマー (アメリカのカンザスの人で、メタルのギタリスト、
『 これは、メタル人でないのにメタルの最も認められたシンボル、 「Horns」 を使う人々にムカついてウンザリしている私達のためのグループです。
Hornsは、彼自身がメタル・ゴッドであるロニー・ジェイムス・ディオ によってメタルに持ち込まれた。(彼がHornsを発明したわけではない。この説明は、これが真実であるとか、私達はディオが文字どうりそれを発明したと思うことを言うことによってあなたが法的に遅れを認めたりすることを決して主張しない)。
それは、まず最初に、マノ・コルヌート(mano cornuto)で、邪視(evil eye) から護ったり、邪視を与えたりする為のイタリアの手のジェスチャーだった。 彼の祖母が、彼のまわりで最もそのサインを使った人で、それゆえ、彼自身にHornsの印象をつけることによって、彼の祖母に賞賛を送っている。 ( >>>『邪視(evil eye);ウィキペディア、日本語 』
彼は、ブラック・サバス とのHeaven & HellツアーでまわっているときにHornsを使い始めた。 彼がHornsを使うのは、しかしながら、ショーの間に特にダークな瞬間や、特にメタルな瞬間を強調したりする時だけだった。 ディオはただそこに座ってHornsを掲げたりしない。瞬間はHornsに値しなければならない。
「HORNS」 は、アシュリー・シンプソンやブリットニー・スピアーズのコンサートで使われる為のものではなかった。イン・シンクのコンサートで使われるべきでもない。Hornsは、ディスコやフォール・アウト・ボーイやマイ・ケミカル・ロマンス、そのような場所でのパニックによって使われるべきではないのだ。 要するに、メタル人でないなら、「Hornsを使うべからず。」
ヒントをあげると・・・そしてこれは単なる比較の目的の為で・・・ブラック(黒人)カルチャーの人達にとってのnの語のように、Hornsはメタルヘッド(metalhead;頭がメタル=メタルファン) の為のものだ。 (「nの語、N-word」 というのは、「ニガー」 という公式的には差別的な用語の"暗喩"で、黒人同士では黒人のプライドをこめて仲間意識の親近的な意図としても使われる。) あなたが我々のうちの一人でない限り、Hornsを使うべからず。Hornsはメタルヘッドだけの為のもので、ジャック・ジョンソンやアッシャーの為のものではない。 サウスパークから引用すると、(番組のどっかにあった);"N-wordを使う白人は、それが黒人の連中にとってどんなに不快でうんざりするものか、白人の連中はぜったいわからない。" 同様に、Hornsを使っているメタルヘッドじゃない奴らは、それがどれほど本当にマヌケで酷い事か、決してわからないだろう。 ( サウス・パークは、私もイギリスで楽しんでいた、大人向けのシニカルなアメリカのアニメ。 >>>『サウス・パーク;ウィキペディア、日本語 』 )
メタルではない理由の為にHorns を使う事は、受け入れられない。 (中略)
友達が指摘した様に、Hornsは新しいLOL(Laugh Out Loud = 爆笑、の略語) の様で、人々は不必要な状況で、不適当にHornsを使う。
Hornsを掲げる時、親指を伸ばしてはいけない。それは"手話"では「I Love You」 を意味する。 俺はディオをもちろん愛しているが、ディオに対してHorns を掲げることは、いつだって、「I Love You」 というのなんかよりもとてつもなく凄いことなんだ。 考えてみてほしい。 ディオは(Hornsの) 方程式から愛を取り出して、それを全くメタルにしたのだ。 親指と一緒にHornsを掲げる時、バカみたいにしか見えないので、だからどうか私達に恥をかかせないで下さい。(ただI Love Youと言いたい)子猫ちゃんは手を下げてね。
関連したトピックでは、 「メタルでない人はメタルシャツを着るべからず。(DO NOT WEAR A METAL SHIRT IF YOU ARE NOT METAL.)」 聞いてないバンドや、そのバンドの事さえ聞いたこともないようなバンドのシャツを着ることがファッショナブルかどうか、とか、今聞いてる何にせよから地獄を蹴り出せたとかなんかは、俺には関係ない。メタルでない奴はメタルシャツを着るべからず。 貴方が(いつも)聞く音楽が、(普通の)小学校6年生の女の子が聞くのと同じなら、メタルシャツを着るべからず。 もし貴方がHornsを見せびらかすよりももっと、ギャングのサインを見せびらかすのなら、メタルシャツを着るべからず。(中略)
断り書き; もし貴方がロングホーンのファンなら、ロングホーンのイベントにのみ使える、彼らの為だけにだ。 ただ自分のケツの上に座って、そんな気がするからというだけでHornsをちらつかせないでほしい。雑誌を読み終えたと同時に洗濯機がまわり終わったのが嬉しいからHornsを使うのが、テキサス・ロングホーンズとどう関係があるというのだ? 何もない。 Hornsを使うべからず。(テキサス・ロングホーンは、コルナの日本語ウィキにも出てます。) (中略)
こういうのが聞こえる。「それは、(昔からの)手のジェスチャーであって、あんたがた(メタルヘッド)はそれを考えられないほどの知能遅れだ。」 そう、それと同じ程のもので・・・"ただ単に" 2つの木切れを釘で一緒に刺したものが、キリスト教の信頼を象徴するものだ。 "ただ単に" 幾つかの白と赤の縞々と一緒の幾つかの星が、アメリカ合衆国を象徴する。 "ただ単に" 半端の丸、が、イスラムの信頼を象徴する事になったりする。 他のみんなと同じように、それはシンボルだ。 それが私達にとっての意味するのは、それが貴方にとって意味するのとは同じではないから、というだけでは、私達がバカで貴方は頭がいいという事にはならない。 どっちにしろ、そんな事を言ってると頭が固い奴になるだけだ。
(後略、その中には Zimmers Hole/ズィマーズ・ホール という、カナダのメタルバンドの作った"おきて" のリストを含む。
Zimmers Hole は、「いかにも典型的なメタル!の笑えるトコ」 というのを表現するコンセプトのコメディ・バンド だが、彼らの音楽はホンモノの極上メタルだ。メタルといっても様々なものがあるけど、メタルシーンを全体的に見て「これはどう見てもメタル」 というのが詰め込んである。(たまにパンクの曲調そのまんまが混ざってたりするけど、反体制の精神から、メタルにパンクが混ざっている事はよくある事でもある。) メタルべくメタルの典型のコメディ、というコンセプトからいって、曲調はメインストリームの寄せ集めのスタンダードだが、なんせ、その心が詰っているのでそこにZimmers Holeという生きている命が存在する・・・が、やっぱりコメディなので、熱烈に愛される事も少ないかも。 メタル・カルチャーがキリスト教のサタンをまじめに宗教的に崇拝していたらこんなことにはならないだろう・・・ということも、彼らは示している。 コメディさがあまりにもバカバカしすぎたり、下品すぎたり、笑える、という能天気さからして、・・・普通メタルヘッドがひたむきに自分の好きなタイプのメタルを愛すのと同じようには、ひたむきに愛される事が少ないであろうバンドでもある。 Zimmers Holeの日本語のウィキもまともな紹介もネット上で見つからないので、とりあえず、MySpaceのプロファイルはここ。 >>>『Zimmers Hole ; MySpace Profile 』 >>>『Zimmers Holeのとってもかわいい写真はココ。』
( Zimmer というのは、主にお年寄りの歩行を助けるフレーム、歩行器の事で、よろよろのお年寄りの代名詞でもある。・・・イギリスでは。でもカナダではどうか知らないです。 )
『Zimmers Holeのおきて』 の一つに、「防弾のコップからビールをがぶ飲みするべし。」 というのがある。 こういうジョークの可愛らしさや笑える皮肉はやっぱりメタルヘッドにしかわからないだろうと思うので、その、おきてリスト全部の内容はここに書かない。 とりあえず、いちばん始めの、「1. Should They Plunder, Thou Shalt Suffer an Eternity of Humiliation in Song for Thy Ignorance and Stupidity.」 というのは、直訳すると、メタルらしく皮肉すぎる言葉になるので概要を言うと、 「音楽の中で、あなたがどれほど社会から略奪されてきたかを思い知るだろう」 という事で、それってなんだか、ピーターが最初のZeitgeistの冒頭に述べている言葉と似ている。 ・・・もしかして、ピーターはここからアイデアを拾ったのだろうか・・・。ピーターがメタル系だとは思えないけど。
そんで、この 『メタル人でなければHorns(ホーン)を使うべからず。』 のページにあるリンクの1つにこれがある。 >>>『METAL COUNCIL CONVENES TO DISCUSS 'METAL HAND SIGN' ABUSE 』 Hornsのメタル以外での乱用について、メジャーなメタルのアーティスト達が話してて、英語なのだが、めちゃめちゃ笑える。 けど、登場するキャラとそのバックグラウンドを知らないとたいして面白くないと思うので、訳さない。) 』
ちなみに、ディオが実際に彼のおばあちゃんがHornsを放っている姿をまねしているのがこのビデオの1:30くらいから。めちゃくちゃかわいい。 (ディオ、本当にかわいいなあ・・・。表情とか、喋り方とか、めっちゃ、たまらん! 私はレインボーは好きじゃないけど、ディオの歌は本当に愛がいっぱいつまっているのでやっぱり大好き。あんましたいした事書かれてないけど、彼の日本語のウィキはここ。 >>>『ロニー・ジェイムス・ディオ;ウィキペディア、日本語 』 )
それで、だ。コルナの英語版ウィキペディアにはもっと詳しく、どのメタル人がディオより早く使っていたかとか、いろいろ詳しく書いてある。 ディオのおばあちゃんが 「邪視(Evil Eye)」 としていた物はmalocchio で、 moloch と同じ、『モレク/モロク』 の事だ。 >>>『モレク;ウィキペディア、日本語 』
Evil EyeでEvil Eyeを追い払う 、というのは、イタリアにかぎらず、世界中の古くからの民族文化に見られるコンセプトでもある。
他にHornsを使うアーティストや有名人はたくさんいたが、爆発的にメタル界に広めたのはディオで、 重要なのは、 「考えてみてほしい。 ディオは(Hornsの)方程式から愛を取り出して、それを全くメタルにしたのだ。」 という事だ。
ブラックサバス のオリジナルのボーカルであるオジー・オズボーン がピースサインを掲げていたのに対して、デイオはそのノリを引き継ぎながら、自分の思いを込めて使ったサインは彼の祖母の愛だった 。
太古の昔から引き継がれてきた命。そして私達生きているみんな一人一人がそれ自体であり、その象徴、であるのと同時に、重要なのは、彼の祖母の愛、という事。
主にメタルの芯は、世の中の人間の権力による暴力への反抗の叫びだ。そして、権力体制の中で個々をまず護るものは家族や仲間でなければならないという心が潜んで いる。 野牛の群れの様に・・・。 (number of beast 666 、野獣のナンバー666というのが愛される理由の一つだ。)
そしてメタルで重要なのは (・・・まあ、メタルにも色々なのがあって色々な面があるけど・・・)、主に、生きている命の輝きだ。 もともと、「命の輝き=ルシファー」 で、 そのルシファーがキリスト教の天国からキリスト教によって落とされてサタンが作られた 。
キリスト教権力が古代からの土着文化を悪魔としたのは前から何度も説明したけど、 世界中を征服したキリスト教権力はグノーシスに呪われているので、 " 「善=霊=キリスト教=権力体制」 vs 「悪=肉体=土着文化の神々=メタル」 " という図になる。 そこでメタル側がサタンを持ってきて象徴するのは、「権力体制によって拷問されてきた土着文化の怒りの象徴」 であり、「生命の輝きを拷問し抑圧してきた権力体制への反抗の意」 でもあり、なんせ、・・・笑える・・・ってゆうか、かわいい・・・というか、とにかく、サタンはメタルのマスコットである。 キリスト教のサタンをまじめに"信じる"のはキリスト教を信じるのと同じことなので、キリスト教権力のばかばかしさを笑いに変えてしまっているのもある。
もちろん、「キリスト教が生んで作り出した悪」 としてのサタン、というのに使われたりもする。 サタンをどう使うかは色々だけど、結局サタンやナチをメタル・シーンで悪用(?、!、・・・?)すると、大多数から嫌われるので、メタル・シーンに居場所がなくなってしまう。
前にも書いたけど、キリスト教以前に人々から愛されていた数々の命の象徴のうちの一つは、牛科、牛やヤギや羊 だった。人間の命を支えてくれたその、立派なツノのある獣達を人々は本当に感謝していた。食べればおいしいし、着るものにも小細工の道具にもなってくれるし、ミルクもわけてくれる。 農耕が始まり、階級や奴隷文化が始まり、一神教が権力体制に利用されだす前に、命を救ってくれる重要な存在はHorns(ツノ) を持った獣たちだった。 だから、 そんなこんなで、 Horns と サタン は、メタルカルチャー内でこよなく愛される、絶対的な正当な理由がある。
でも、Horns や サタン、デビル、悪魔、でバリバリのメタルヘッドでも、家族の墓はキリスト教墓地にあったりする。 メタル・カルチャーで主に反抗の的となっているのは不条理で抑圧的な権力体制であるので、宗教でも伝統でも、愛に満ちている面であれば問題ないのだ。ほとんどでは。 そんで、クリスチャン・メタルのカルチャーも存在する。
しかも、アイアン・メイデン は、言うなれば、ばりばりのクリスチャン・メタルでもある。
ボーカルのブルース・ディッキンソン は、子供の頃にはキリスト教の布教活動に熱心で、神を盾に人々を説き伏せて改心させる、というのにハマって夢中になっていたと言う。とにかく、自分ができる現象に夢中になってやみつき になったそうだ。そしてそれが、彼がメタルバンドのボーカルとして大勢のファンを集める事に繋がった、と言っていた。 そしてキリスト教を本当によく知っていたからこそ、アイアン・メイデンがホンモノのメタルになれたのもある。 ( 私は昔からアイアン・メイデンの音楽を特別好きだと思ったことがないので、細かいところまでは知らないけど、メタルの歴史上とても重要なので、いつもメタル系のドキュメンタリーやインタビューに出てるのはたびたび見てきた。 私もブルース・ディッキンソンはすごくかわいい(かわいくて笑える)人なので好きだ。とても真っ直ぐで正直な人だし。 そして私は彼のアイアン・メイデンとしての歌声は好きではないけど、ソロでトラディショナルなペイガン・メタルっぽいのを歌っていた声には感動した。 しかも彼は筋金入りの 「鉄道マニア/Trainspotter」 でもある。) >>>『ブルース・ディッキンソン;ウィキペディア、日本語 』
Tears of Dragon - Bruce Dickinson (これは私のまあまあ好きな曲のビデオ。そしてこれは殆どただのバラードでソフトなので、メタラーでない人でもこのビデオは楽しめるのではないかな。 でも、途中でレゲエ調のリフが入るのがビデオのコンセプトの流れに合ってないので・・・いきなり刑事ドラマみたいになって、かっこわるい・・・のがまた笑える。 それにしても、はじめてこのビデオをイギリスのテレビで見た時は笑った。 だって、黒っぽい長髪かぶせて、ぼやけ映像で彼をまるでイケメンのように見せてしまうなんて・・・詐欺だ。 ははは。 一般に売るためにはビジュアルは重要だとも思うけど、彼の事を知らなかった若い子達が彼の普通の姿を見た時にはかなりビビルだろう!・・・そして、ほとんどのメタラーはみんな彼の普通の姿が大好きなので、・・・テレビでこれを流してノン・メタラーを騙す、というのが、笑える。・・・全くなりきっているブルース・ディッキンソンもかわいくて笑える。 でもとにかく歌は愛に満ちていて感動的だ。)
そんで、ブラック・サバス の十字架も、実はディオのHornsと似た意味があったのだよ。